ワンドⅤ/争いと競争
概要
ワンドの5は一見すると大勢の男たちの争いを描いているように思えます。しかしウェイトはこれを「模擬戦」「演習」であると述べています。たしかに、この絵には争い特有の緊迫感や荒々しさに欠けているように感じられます。また、争っているのではなく、それぞれが武器を手に自分たちを鼓舞しているようにも見えてきます。
このことから、このカードは「来るべき本番に向けた忍耐と根気強さ」を暗示するカードといえるでしょう。目的・目標に到達するまでに試行錯誤や多くのトラブルを経験することを教えています。しかし、このワンドⅤが示すトラブルは決して大きな障害ではありません。それは、ほんの些細な取るに足らない障害や不愉快で好ましくない時間、ちょっとした面倒な出来事が大半なのです。ただ、この積み重ねに耐えうる人だけが、来るべき大舞台で自分を試すことができる資格を得るのです。
リーディングのポイント
葛藤や意見の相違や対立を表わすことが多く、競争や争い、ライバルの出現などを表わすことが多いカードです。集団のなかで目立ちたい、認められたいという気持ちが強く、他人を蹴落として上に上がろうとする闘争心を表わしています。一方で「試合への参加」を表わしているため、コンテストへの出場権獲得や一次試験の通過といった「本戦への出場機会を得る」ことを暗示するカードでもあります。
正位置と逆位置で意味の相違はほとんどありませんが、逆位置の場合の事態はより深刻です。争いは訴訟などに発展することもあるため注意が必要です。また、恋愛におけるこのカードの意味は「ライバル出現」となるため、状況によっては浮気や不倫を暗示することもあります。
HEXAGRAM展開時における意味
①過去・原因
自分の置かれている環境で発生した競争やトラブル、摩擦に嫌気が差している。そもそも自信と実力が釣り合っておらず、落ち着きのない心持であることが原因。自分の主張を通そうと躍起になっていることがトラブルを生んでいる可能性。
逆位置の場合では、周囲がそれぞれ自分のことばかり考え、相手のことを思いやらなかったのが原因であると教えている。譲り合う気持ちもなく、それぞれが意固地になっている。支離滅裂で、お互いが手段を選ばない態度となっている。
②願望
承認欲求が強い状態。周囲になんとか自分を認めさせたい気持ちが見える。自分の中にどうしようもできない葛藤が生まれており、相手に対して意地が悪くなっている。また、反対意見に対して、それを認めたくない頑なな態度も見える。
逆位置では、自分が一番大変な思いをしていることをわかってほしい、という気持ちが強く出ている。誰かにこの苦しみや葛藤をわかってほしいが、うまくSOSが出せないでいる。
③相手
相手は承認欲求が強く、なんとかじぶんを認めてほしいという気持ちが強い。またはライバルや競争相手と認識されている。組織においては、それぞれが各々の価値観で動いているが故に歯車がかみ合っていない。恋愛で見た場合、ライバルの出現の暗示であり、その相手と争う覚悟が必要となる。
逆位置でも意味合いは変わらないが、上記に加え、かなり被害者意識・被害妄想が強い相手であることが窺える。状況や環境によっては敵視され、恨まれている可能性も。
④現状
このままではどちらも折れずに、争いに発展する気配。ぶつかり合うときであり、勝ち負けをつけずにはいられない状況。試合やコンテスト・オーディションなど、競争への参加資格を得ることを暗示。
逆位置も正位置と意味は同様だが、事態はさらに深刻で長期化する恐れがある。争いをなんとか避ける方向へもっていかないと敗れる可能性がある。
⑤未来
どちらも主張を譲らないまま争いへと発展する。試合やコンテスト・オーディションなど、競争への参加資格を得る。人間関係ではライバルの出現や争いを暗示する。
逆位置も正位置と意味は同様ではあるが、争いに発展した場合、こちらの分が悪い。特に現状と未来の逆位置は係争・訴訟に巻き込まれることを暗示しており、回避するような行動をとるほうが良い。
⑥結果
相手・周囲との関係性に摩擦が生じ、対立は避けられなくなる。仕事においては契約の不履行や訴訟・係争問題に注意。「試合への参加」を表わすカードであるため、コンテストへの出場権を獲得や一次試験の通過といった「本戦への出場機会を得る」ことを暗示する。
逆位置では、事態はさらに深刻で長期化する恐れがある。こちらの分が悪いため、争いを避けるようにするほうが良い。
⑦対処
争いや摩擦は避けられそうにないため、冷静に妥協点を見つけるべき。この対立は決定的な亀裂を生じさせるものではないため、今回は強気に自己主張したほうが後々のために良い。逆位置の場合、この対立をそのままにしておくことは、事態の深刻化と悪化を招く。納得できなくとも、どこかで妥協点を見つけないと長期化した上に負けてしまう可能性がある。
TRIANGLE展開時における意味
今抱える課題・問題
人間関係における対立や競争を抱えていることが分かる。周囲に認められようと努力をしている様子。だが、周囲との足並みが揃わず、些細なトラブルに発展している。仕事ではライバル会社や同僚との競争、価値観の違いによる摩擦、係争ごとや訴訟問題に巻き込まれていることがわかる。恋愛では狙っている異性はライバルがいることを示唆。状況によっては不倫や浮気の暗示となる。
結果
正位置であれば、さらに上で挑戦する資格を得る。一次試験などの突破。コンテストや本戦への出場資格を得る。争いは避けられないが、これにより大きく亀裂が入ることはない。
ただし逆位置では、事態は深刻となり、訴訟や係争に巻き込まれる可能性がある。その場合、分が悪く回避できるのであればそのほうが無難。
Two Oracle展開時における意味
人間関係における摩擦を表わしている。意見のちょっとした食い違いからの対立を暗示しており、お互いがそれを譲れなくなってきていることが分かる。
恋愛においては片思いであれば、相手にはアプローチをかけている他の人物がいることを暗示している。恋人や夫婦関係の場合、この対立が決定的なものではないが、早めに妥協点を見つけておくことを示唆する。
恋人を探している人は、もてる人を好きになってしまう可能性を示唆。その人にはライバルが多く、勝てないのであれば、早めに違う人を探したほうが良い。
仕事では周囲に認められようとして、協調性を欠き、対立や摩擦を生んでいる。また、自分のなかにも葛藤が強く、被害妄想に陥らないよう注意したい。
逆位置では、正位置での意味合いが深刻化・長期化することを暗示する。訴訟や係争、浮気や不倫、契約の不履行や激しい対立を暗示する。しかもこちら側の分が悪いため、早々に回避できるよう動いたほうが良いだろう。
One Oracleでの吉凶判断
【YES or NO】
YES☆☆
【来る or 来ない】
来るまでにトラブルに巻き込まれている。
【買う or 買わない】
自慢したくなる、独り占めしたい、他の人には教えたくない
【今の状態】
認められたい、目立ちたい、誰もわかってくれないと憤っている。誰かと険悪な状態。喧嘩中。
【どう思われているか】
騒々しい、落ち着かない人。協調性がなく、負けん気が強よそう。目立ちたがり屋で、認められないと不機嫌になりそう。すこし被害者意識が強く、精神的に不安定な人。
【適職】
プロのスポーツ選手や勝ち負けのある仕事。芸能人やエンターテインメントの世界。営業や競争の激しい仕事の方がやりがいを感じる。外資系やベンチャー企業など、結果主義の会社組織。