ワンドⅡ/征服者の憂鬱

2020年03月05日

概要

ウェイトはこの屋上にいる人物をアレクサンドロス大王と比較しながら「この世の富に囲まれた征服者の疲弊、落胆、悲しみが見える」「ここに描かれた男性は富と価値を混同している」 と表現しました。野心に捉われた彼はこの世の中での自分の価値は、その物質的な報酬によってのみ量られると信じ込んでいます。実際に、このカードは物質主義を追い求めることへの過ちと諫めを含み、野心の達成や高い地位を手に入れることが必ずしも幸福の必須条件ではない、と私たちに教えくれるカードでもあります。だからこのカードの男性は、地球そのものを手にしながらも、どこか浮かない表情をしているように見えるのです。
 リーディングにおけるこのワンドⅡの意味は「富や財産、地位や名誉を追い求めようとする野心」を象徴します。大きな目標や高い理想をターゲットに合わせた状態であり、それゆえに自分の足元の状況に気付きにくくなっていることを示唆しています。同時に、追い求めたものを手に入れた途端、これとは違うものを求めている人間の欲深さを象徴するカードであるとも言われています。

リーディングのポイント

「ワンドのエースで得た活力をどのように活かすのか」これがワンドⅡで重要なポイントです。自分から欲しいものを奪いに行く絶好の機会ですが、その分だけ自分の足元がおぼつかない時期でもあります。理想は高く目標は大きいようですが、今はそれを掴み取っても喜びとはならず、ただ落胆と倦怠感に包まれるだけ…とカードが告げています。伝統的には土地家屋、不動産の獲得を象徴するカードのため、家を建てる・不動産を売買することに関しては積極的に行動して良い状況・時期といえるでしょう。
逆位置では、正位置の積極性に加えて、手に届かないことへの苛立ちや憧れの強さが執着となり、焦燥感が強くなる傾向を示唆しています。多くの場合、身の丈に合わない願いに縛られ、苦しんでいる状態を表します。

HEXAGRAM展開時における意味

①過去・原因
理想の高さゆえに、足元にある大事なものに気が付いていない。遠くばかりを見ていて、実際に今やるべきことを見落としている。手に届かないものに憧れ、取り残されていることへの焦燥感が原因である。今あるものを手放したくない、という執着心が自己中心的にさせている。
恋愛では特に、理想が高すぎることを示唆するカード。相手に求める水準が高く、自己中心的になりすぎる。好きな人のことばかり見ているが、自分を好きになってくれる人のことはまったく見ていない。

②願望
「成功したい」「権力を手に入れたい」という野心が大きく、さらに上を目指そうという想いに溢れている状態。恋愛でも、何が何でも相手を手に入れたいという願望が見える。
逆位置の場合、この上昇志向に執着心が加わり、手にしたもの、今あるものを失いたくないという気持ちが強まる。必要以上に何を望み、大きな展望を描いている状態。得たものを失うことをもったいないと感じている。

③相手
正逆の意味は同じ。相手はすでに手に入れたものに虚しさを感じており、次の目標に向かって動き出そうとしている。恋愛や人間関係においては、相手が主導権を持っている。または主導権を握りたいと考えており、あなたを下に見ていることを示唆している。

④現状
正位置の場合、目標やゴールは定めたが、その達成のための具体的な手段はない。自分の力を過信しており、漠然とはしているがとにかく第一歩は踏みだしたという状態である。
逆位置では、保身のための行動が目立ち、そのために孤立感が深まる暗示。周囲とは足並みが揃わず、個人プレーに走りそう。

⑤未来
正逆意味変わらず、興味は今の問題から次の問題に移ることを暗示。すでに新しい願望や野心が芽生えており、そちらに目が向いている。不動産の取得や転居の成功の予兆。これらの判断が上手くいく。

⑥結果
正位置では先を見据えた計画は実行に移して良い。自分から取りにいくことは上手くいく。ただし、目標に到達しても満足できない。手に入れたものはすぐに飽きてしまうという暗示。今抱えている問題は、時を経るごとに消えていくが、別の新しい問題を抱えることになる。
仕事に関しては昇進や昇給の気配あり。不動産に関する取引、売買はスムーズに行われる。恋愛においては、交際に発展するが長続きしない。
逆位置も意味は変わらないが、足元が見えていないことに注意が必要という暗示。今の問題がクリアになる前に、さらに違う問題を抱える気配がある。

⑦対処
恋愛に関しては、自分自身が積極的に行動した方が上手くいく。理想が高すぎる傾向があるため、妥協できる点は妥協する方が良い。また、憧れの相手を追いかけがちだが、近くに良い相手がいることを見過ごしていることを教えている。
仕事においても、遠くの目標よりも、近くのやるべきことを優先させること。足元の小さなミスが大きなトラブルを呼ぶことになるため、まずは身近なところからクリアにすべき。

TRIANGLE展開時における意味

今抱える課題・問題
もっと良いものが欲しい、もっと良い場所に行きたいという願いを抱えている。次から次へと欲しいものが変わり、本当に大切なものが分からなくなっている。遠くばかりを見ていて、足元が見えていないことが問題の原因となりそう。
逆位置では、その身の丈に合わない願望や理想の高さが焦りと苛立ちを生んでいる。このままでは空回りする一方である。

結果
自分から取りに行く、奪いに行く状況では上手くいく。不動産の購入や家を建てるには絶好の時期。また、ビジネスでは主導権を握ることができる。 逆位置になると、自分の足元が見えていないという暗示。家族や友人など身近な人に気を配ること。些細なミスをしがちな時期であり、それが後から大きな問題として浮上することがある。 

Two Oracle展開時における意味

正位置では、今は恋愛よりも仕事を優先せざるを得ない時期であることの暗示。恋人やパートナーとの気持ちは離れており、少し距離を取ったほうが上手くいく時期である。
逆位置では、ふたりの先ばかり見つめており、今相手がどんな感情であるかを考えようとしていない。そのため想いが空回りし、気持ちにズレが生じている。
恋人探しでは、紹介を待つよりも自分から積極的に探す方が良い。ただし、相手に求める理想が高すぎるため、妥協するべきところは妥協した方が良い。
また、仕事における実績が認められ、いずれある一定の主導権を握れるようになるが、現状に満足せず「次」を目指すようになる。
伝統的には不動産・家屋の取得、転居の成功の暗示。また昇進・昇給の気配を表す。独力に頼りすぎている、相談できる人がいないという意味も含まれる。
※Two Oracleにおける対処・アドバイスはHEXAGRAM【⑦対処】を参照。

One Oracleでの吉凶判断

【YES or NO】
YES☆☆
※最高がYES☆5つ、最低はNOで★が5つ

【来る or 来ない】
まだ遠くにいる

【買う or 買わない】
手に入れて満足するが、すぐに次のものが欲しくなる

【今の状態】
やる自信がある、欲しいものがある。

【どう思われているか】
仕事はできるが、プライドが高く「意識が高い」と見られている。優しくない、人の気持ちがわからない人。

【適職】
海外との取引、外国との商取引など貿易関係の仕事を暗示するカード。インターネットを使った個人輸入や翻訳業などにやりがいを感じる。不動産関係の仕事に適正がある。