手相鑑定術/占術の分類

2020年06月11日

世界には様々な職業・仕事がありますが、「占い師」という職業は太古の昔からある職業のひとつです。
永い歴史のなかで、占い師はその表舞台に登場することも少なくありません。なかには多くの権力者や王たちのお抱えとなり、良く悪くも政治や経済に影響を及ぼした例は様々な国や時代にも見受けられます。その技法は口頭による伝承からはじまり、印刷技術の発達とともに紙に記録され、今なお引き継がれています。 中国では宇宙・自然の法則を表わすために神が編み出したとされる「易」や国家安寧のため、また戦争での勝利のための「風水」が生まれ、日本では卑弥呼と呼ばれる占い師が国を運営し、ヨーロッパでは占星術で国家の行く末を判断し、ジプシーたちがタロットカードで人生や恋を占う…そんな何千年もの時間のなかで生き残り、洗練され、精度を増している占術のひとつが「手相占い」「手相鑑定術」です。ここでは手相鑑定における考え方やコツを少しづつ書いていこうと思います。

その前に、数ある占いの中で「なぜ手相占い(相術)なのか」「手相占いでは何を知ることができるのか」を明確にしておく必要があると思います。今回は、各占術の特徴についてまとめてみました。

占術の分類

占術というものは主に「命」「卜」「相」に大別されます。それぞれに得意・不得意があるのも事実です。逆に言えば「命・卜・相」の占術を身に着けることで、多角的に人の運命・運勢・流れといった目には見えないものを占うことができるといえるでしょう。簡単にひとつずつ解説していきます。

命術

「命」というのは生年月日、星座など「自分を表す不変のもの」で運勢を判断するものです。数秘術や占星術・四柱推命・九星気学などがこれに該当します。何度占っても変わらないという性質上、これから起こるであろう運命を教えてくれるものです。これからの進む道が坂道なのか、でこぼこなのか、まっすぐで平坦な道なのかを判断することに適しています。また、占われる人の星や天体、気の流れなどを読み解くことで、吉凶の時期やタイミングなどを占うことに優れた占術といえるでしょう。
しかし、人生という道を歩いていくその人自身の感情や周囲の人間の気持ちをそこに反映させるのは難しく、基本的には何度占っても「結果は不変」であるため、吉凶を動かし難いという一面を持っています。

卜術

「卜」は偶発的な物事で運勢を判断する占術です。道具や事象のランダム性を媒介として、投げかけた質問に対して、その答えをそこに見出そうとする占術です。
この「卜」という文字は、古代の中国の亀の甲を焼きそのひび割れを見て吉凶を判断する占いに由来しています。この甲羅のひびが「卜」という象形文字となり、そのまま「うらなう」という言葉の意味なったのです。
この占術は、質問に対しての答えがはっきりとでやすいというところに特徴があります。そのため「YES・NO」が欲しいときに頼れる占術です。また、他人や周囲の思考・感情を占うことに適しており、恋愛や人間関係を読み解くのに優れています。
ただし、この占術は占うたびに結果が異なること、また占う人間の解釈が大きなウェイトを占めることが長所でもあり短所でもあります。出たカードや卦をどう読むかで、人によって伝える内容が180度変化することすらあり得ます。そのため、占い師の霊感や直感に依存する部分も大きく、依頼者との相性・波長も精度に反映されてしまうことも事実です。
この占術の代表的なものがタロットリーディングや易です。

相術

そして、最後は「相」です。ここに手相・人相は含まれます。これは顔の形や手の形状、家の立地状況など、ものの形や様子など「今見えていて、今後移り変わる内容」を判断して運勢を占います。「命」と「卜」の中間ともいえる占いです。
相術の原則は「今見えているものは、その人や事象の想いが反映されたものである」というものです。もっと言えば、「その人の想いを反映させるのであれば、こうあればよい」ということでもあります。少し難解な言い方ですが、手相鑑定を学んでいくうちにきっと理解いただけると思います。
命・卜と相術が大きく異なる点は、その人の感情や思考、欲や能力が表面に刻まれていることです。車の運転に譬えれば、命術が道路状況の把握だとすれば、卜術は「この道を曲がったほうがいいか悪いか」「ここで休憩かさらに進むか」を決めるためのツールです。
そして相術は、ドライバーの心理状態の把握です。余裕をもって運転しているのか、イライラしているのか、寝不足なのか…相術はこれを読み解くことに長けています。さらにいえば、この状態を把握し、さらに快適なドライブにするためには何か必要かを教えてくれるのが相術の得意分野です。「こうすれば、もっと早く目的に着く」「こうすれば道に迷わない」とアドバイスできるのは、占っている人や物事の本質や変化を理解できる相術ならではです。
また、命術のように細かい規則や手順や計算をそれほど必要とせず、卜術のような霊感や直感にそれほど頼ることがないため、勉強と実践を重ねた経験がその的中率の基礎となることも相術の特徴です。誰でも、年齢に関係なく始められるのためにポピュラーで親しみやすい占術として浸透しています。学術的や技術的になりすぎず、また直感や霊感に依存しすぎず、実践的で年齢を重ねた人生経験豊富な方に有利な占術、それが相術といえるかもしれません。

まとめ

【命術】
・生年月日や星座、血液型など自分自身を表わす固有もので占う
・代表的なものは四柱推命、数秘術、占星術
・これから起こること、人生の吉凶の時期を占うことが得意
・何度占っても原則的には同じ答えとなる
・吉凶の時期・タイミング・方位を教えてほしいときに有効

【卜術】
・道具や事象のランダム性から答えを得る占い
・代表的なものはタロット、易
・YES・NOの質問に答えが出やすい
・占う人の解釈に依存する、直感や霊感も必要
・良いか悪いか、YES・NOを教えてほしいときに有効

【相術】
・今見えているものから変化・吉凶を読み取る
・代表的なものは手相、風水
・今見ているものの資質や感情を読み取れる
・変化を利用することで望む方向へ物事を変える
・計算や道具、直感や霊感に大きく依存しない
・「どうしてこうなったか」「どうすれば良いか」に有効