アイオライト/迷える人を導く菫色の羅針盤

2020年03月11日

表情を変える美しい多色性

アイオライトはギリシャ語で紫色を意味する「ion」と石を意味する「lithos」に由来します。和名の「菫」という字は、花のすみれのこと。うっすら紫がかった青色をしていることから、この名が付けられました。サファイアにも似ているのでウォーターサファイアとも呼ばれることもあります。アイオライト最大の特徴は、角度を変えながら石を透かしてみると色が異なって見える多色性にあります。多色性とは光の干渉により視覚的に様々な色に変化する現象のことで、石の内部を光が通過する際に特定の波長の色が吸収されてその反対色が目立って見えるという特性ゆえに起こります。一見すると深みのあるブルーやスミレ色を示しますが、ひとたび光が差し込めば、黄色系や緑系の色彩へとその表情を変え見る者を楽しませてくれます。

バイキングが愛した航海の守護石

アイオライトは、バイキングが好んで航海に携えた石だという伝説が残っています。なかでもアメリカ大陸にコロンブスよりも先に到達したというバイキング「幸運なるレイフ」ことレイフ・エリクソンは、アイオライトの多色性を利用し、羅針盤の方位算出に使用したという言い伝えがあります。実際にはお守りとしての意味合いが強かったということですが、その後も航海の安全を守る石として欧州を中心に愛されてきました。このエピソードを裏付けるように「道を示す」「海の旅の安全」という石言葉がありますが、その一方で「貞操」「愛を貫く」という意味があるとさせています。これは結婚が決まった娘に両親がアイオライトを贈るという欧州の風習からきています。結婚に導いてくれる石として婚活中の女性にも人気があります。

自制心を促す「ダイエットストーン」

アイオライトはその伝説の通り、迷いの中から進むべき道を指し示してくれる手助けをしてくれる石です。このアイオライトを持つことで心の迷いや葛藤や不安を取り除き、自身が思い描く道や正しい道へと導く手助けをしてくれると言われています。このような特性からアイオライトはチャネラーや占い師には情報をもたらす石として好まれ、芸術家にとっては創造的な霊感をもたらすものとされ愛されています。腎臓や肝臓における解毒作用を促し、体内の老廃物を代謝しすることで身体の内からの強い体質を助けます。また、身体に余分に蓄積した体脂肪を減らす効果があるとされており「ダイエットストーン」とも言われることがあります。肥満しやすい人やアルコール依存性の人などに自制心を与える石としても効果的です。

ブラッドショット・アイオライト

主にインドやスリランカ、タンザニアなどで産出されています。特にインドのものは「ウォーターサファイア」とも呼ばれ高い評価を得ています。なかでも鉄分（レピドクロサイトなど）が多く内包され赤く充血したように見える「ブラッドショット・アイオライト」やアベンチュレッセンスやキャッツアイ効果を示すものは大変希少です。

ターコイズと組み合わせ「旅の守護石」に

伝統的に旅行の守護石として用いられてきたアイオライト。アラビアでは、ターコイズは「隊商の守り石」とされ交通安全に欠かせない石でした。旅の安全という意味を強めたければ、この２つの組み合わせがおすすめです。

DATA

英名：Iolite
和名：菫青石（きんせいせき）
色：青色、帯紫青色、帯灰褐青色
硬度：7～7.5

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